極私的コンサータレポ

自生音楽表象や感覚の過敏、所謂気づきの亢進など、初期分裂病感のある症状を抱えている俺だが、残念なことにその著者である中安信夫氏の勧めるドグマチールエビリファイは効いた試しがなかった。ふつう、統合失調症ドパミンの過剰分泌に起因して、その典型的な症状である幻覚・妄想が発現すると言われている。なので、コンサータのようなドパミンに作動し、その伝達を増進する薬は症状を悪化させるものと考えられる。しかし前述のように、統合失調症の前駆に適応のあるとされる薬がマトモに効果を発揮しないところをみると、どうにも怪しいのではないか?という推論を素人なりに立ててみて、このたびadhd治療薬、コンサータを服薬してみることにした。
いやいや、お前、仮にadhd治療薬を頼るにしてもまずは依存性も低くて処方箋がすぐに出るストラテラだろ、と突っ込まれそうだが、実はストラテラは以前に少しの期間だけ飲んだことがある。ノルアドレナリンに作動する薬だそうだが、感情鈍麻や意欲の減退が著しく、勝手に飲むのを断念してしまった。俺はそもそも、こんな動機で薬を飲んでる奴はマイノリティなのかも分からないが、読書や勉強への専念を、服薬の主な目的に据えており、これ自体がある種の生き甲斐みたいな状態になっているので、それを薬の作動によって奪われてしまっては元の木阿弥なのだ。しかも、実際肝心の症状には何らの変化もなかったからね。
前置きが長くなってしまったが、ここからが本題のコンサータ服薬記録である。ちなみに俺はadhdの確定診断は受けていない。大学病院の発達障害専門医との一時間にも及ぶ保護者同伴の面談や、通知表を持参した上での精神科医への受診の結果として、君をadhdだと確定させる事はできないし、もちろん、当然のことながらadhdでもない患者に、コンサータというストラテラ、インチュニブに比較して依存性、濫用性のリスクが高く、それ故管理も厳しい薬を処方することなど出来るはずがない!ときっぱりお断りされてしまった。
じゃあどうやってコンサータ入手したの?ってなると思うが、まぁそれはいいじゃないですか、色々と今の世の中あるんですよ。あまり詮索しないでください。としか言いようがない。
また話が脇道に逸れてしまったが、ここからが本当の本題である。まずは結論として述べておきたいのはコンサータ2chなどの書き込みからイメージされるような魔法の薬では断じてない、という事だ。服用後30分ほどで脳の覚醒感を覚え、寝食を忘れるほどに目の前のタスクをこなすことができ、それまで抑制されていた自分のアビリティが思う存分発揮できるようになったなどという書き込みに誘惑されて俺も服薬に踏み切った訳だがそんなに甘い話ではないのだ。
確かに18mgを服用してから1〜3日くらいは明確な効果の発現があったように思う。注意力の散漫、思考力持続の困難の根本的な原因である、自生音楽表象や感覚の過敏がなくなったわけでは決してないのだが、ドパミンの増幅の結果だろう、不思議と身体があまり疲れない。身体の疲労が集中力の減衰をもたらすこともしばしばなため、最初のうちはこれは結構使えるかも知れない!と期待を抱いたものであった。しかしこれも所詮は一時的な現象に過ぎなかった。4日目以降は身体の疲労の軽減の効果すらも薄れてきて、また以前と同じような状態に戻ってしまった。しかも、コンサータの作用時間は一般に10〜12時間と言われているが、効果の切れ際、服用から10時間ほど経ったあたりから、耳鳴り、そして音楽性の表象ではなく、割と判然とした幻聴に近いものにまで悩まされるようになった。脳を無理やり稼働させたツケが回ってきたのか、この文章を書いてる今も微かにではあるが耳鳴りが聞こえている。いま現在の状況を端的に説明すると1stつまり18mg、10錠を休薬日を間に挟みつつ、すべて飲み終えたところである。先ほど記述したように3錠目までは効果の発現を実感し、それなりの期待感を感じたものだが、それ以降の7錠はほぼ惰性というか、まぁ飲まないよりはマシかなくらいのモチベーションで飲み続けた。その結果として、以前にはなかった耳鳴りや、より輪郭のくっきりとした幻聴に悩まされるようになったというのだから、目も当てられない悲惨で愚にもつかない容態である。コンサータは体重の数値と同じくらいの用量がちょうどいいとの書き込みが散見されたため、54mg程度までなら増量できそうなのだが、18mgが早くも4日目でその効能を喪失し、尚且つ副作用まで出てきた事を顧慮するとあまり増量に積極的になる事はできない。どうしたらいいんでしょうかねえ・・・